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忍野「阿良々木くん……君、ロリコンに憑かれてるよ」 の続き

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 15:56:46.92 ID:h9CxOzu60
「阿良々木くん……君、ロリコンに憑かれてるよ」

携帯電話の向こうから聞こえる忍野の断定に、僕はげんなりする。
ロリコンて。

人の性格や嗜好は、積み重ねによるものだ。
だから、特別な理由も見あたらないのに、いきなり性格が変貌するのはおかしい。
実際、僕自身、この急激な嗜好の変化に頭がついていけてなかったりする。

だからといって、『お前の異常な性嗜好は化け物のせいだ』と言われるのは何か嫌だ。
出来れば一生言われたくは無かった。
憑き物以外に説明つかない程、お前の性嗜好は異常だと言われているようなものだから。

「あなた可愛いわね」

戦場ヶ原の頬をなめるような視線に、千石はびくっと身をすくめる。
さながら、蟹に睨まれた蛇。

「へ…? あ、ああありがとうございますっ!」
「阿良々木くんがまた私以外の子にお節介焼いたっていうのは聞いていたけれど…
こんなに可愛いだなんて聞いてないわ。何か変な事されなかったかしら?」

確かに僕は、用事が終わるまで適当に遊んでてくれ、とは言った。
でも、人見知り激しい千石に訳の分からない尋問をするのは辞めて欲しかった。


僕のおせじにも広いとは言えない、つまり狭い部屋は、今日に限って人口密度が異様に高い。
特に女の子の比率は過去最高。
あいつなら外人ばりのリアクションでガッツポーズ決めるであろうシチュエーションだ。
もし僕に戦場ヶ原という彼女が存在しなかったら、僕だってその喜びを4コマで表現したいとは思っている。
作画に余裕があればだが。

「何かさっきから、ツンデレちゃん以外に小さい女の子の声がするねぇ。
もしかして阿良々木くん、既に捕獲完了って状況?」
「いっとくがな忍野。僕はまだ法に触れる事は何一つしちゃいないぞ」
「今はまだ? はっはっはっ! 阿良々木くん、自分に正直だなぁ。今の気持ちを6文字で表してくれないかい?」
「小中学生万歳!」

ほとんど条件反射で、児ポルノに喧嘩を売ってしまった。
電話の向こうで忍野の爆笑が聞こえる。
この通話を切って、今すぐ殴りに行ってやりたい衝動をぐっとこらえる。

「今の録音しといたから」
「やめろおおおぉぉ!! お前僕を助けたいのか牢獄に突っ込みたいのか、どっちなんだ!」
「少女を牢獄に突っ込みたいのは君の方だろ阿良々木くん?
今度そういうプレイ用の牢獄扱ってる所紹介しようか?」
「馬鹿野郎! 少女は自由に動き回る姿が一番美しいんだよ!
籠に入れて元気の無くなったウサギに何の魅力もないっ」
「だっはっはっ!! 哲学だねぇっ」

笑えよ忍野。実のところ、僕自信が一番、今の自分を笑ってやりたいんだからな。

部屋の中一杯にひしめく、若い女の子達。
下は小学生から上は高校生と、バラエティーに富んでいる。
僕の用事が終わるまで各自暇な事もあって、各々適当に時間を潰している。

「べ、別に変な事なんて……されてませんっ! こ、こよみお兄ちゃん、優しいし……」
「どういうふうに優しいの? こうやってふとももを撫でる仕草が優しいとか?」
「んひゃう!? ん…ぁ」
「いいかげんにしろ戦場ヶ原っ! 千石が困ってるだろ!」
「あら、この子の肩を持つの? 彼氏が真性ロリコンに変貌して、
そのショックでうちひしがれている恋人を放っている癖に?」
「ぐ……っ、それについては、こっちが全面的に悪い。あとで謝罪もする。だがなっ」

僕の目が血走る。
戦場ヶ原の手が、千石のか細いふとももから離れない。
それどころか、痴漢のような手つきで今も女子中学生の肌を侵し続けている。
僕が先に見つけた極上の宝物が、他の誰かに汚されるなんて耐えられない。

「それに触れるな…っ! それは僕のだっ!! 大体、対象をぶしつけに撫で回すなんて少女趣味の風上にもおけない! 戦場ヶ原、お前は3流だ!」
「12回……」

カチカチと、懐中時計のようなものをいじる。

「…なんだよ、その数字」
「阿良々木くんが私の前で、浮気をほのめかす言動をした回数」
「……そ、そんなの数えてどうするんだよっ」

戦場ヶ原は懐に手を入れ、中で何かをジャキジャキと鳴らす。
確認しなくてもわかる。例の大鋏を開閉させる音だ。

「その回数だけ、阿良々木くんを社会的に殺してあげる。更正のお手伝い」
「物理的に殺す気満々じゃないかっ!?」
「切ってつけてを12回繰り返す訳じゃないから安心して頂戴。先端から少しずつ、12回にわけて刻んでいくだけだから」
「それ最も苦痛を伴う拷問じゃん!!」

やっぱり戦場ヶ原は、少し怒っているようだった。
そう、少しだ。
他人が聞いたらとっくにDVの域を超えているだろうと思うだろう。
だが、僕と戦場ヶ原の間柄では、まだ軽い口論の内にカテゴリされてしまう。
なぜなら戦場ヶ原が本気で怒っているその瞬間、それはすなわち、既に行動を起こした後だから。

「で、あなたと阿良々木くんの馴れ初めは?」
「あ、あぅ……そ、その…」

戦場ヶ原は獲物を射貫くような鷹の視線で、僕と千石の過去を糾弾する。
本人に、年下の女の子を脅す意志何て無いだろうけど。
戦場ヶ原の冷たい視線と、妙な迫力をまとった言動は、聞いている者を時に圧迫してしまう。

そんな緊迫した状況を電話越しに聞いていた忍野が、

「何だ、皆仲良くやってるみたいじゃないか」
「さっきの会話が仲良しに聞こえるなら、耳鼻科行ってこい!」

大体、皆という表現は適切ではない。
一見仲良くおしゃべりしているのは戦場ヶ原と千石だけで、そこに八九寺の姿はない。
部屋の隅っこで、ぽつんと体育座りしているのが気になった。

戦場ヶ原が来た辺りでは、まだ会話に参加していた気もするが。
僕が忍野に電話をかけた辺りから、段々と口数が少なくなり、
ついには壁を背に生きる置物と化した。
あいつ……人見知りする奴だったっけ?

「なあ忍野、幽霊って誰にでも見えたりするのか?」
「なんだい阿良々木くん、生身の少女だけじゃ飽きたらず、霊体の少女にまで手を広げようってのかい? 君は視野が広すぎるよ。そのうち胎児の写真を見て興奮出来るようになるんじゃないか」
「それはもうロリコンの域を超えてた何かだ」

「その幽霊ってのは……例の迷子ちゃんの事かい? それとも、また別の?」
「いや…以前話した子」
「そうか……いやいや阿良々木くん、君は本当に真面目というか何というか……
クラス委員長になったら、自殺したクラスメイトの為に、届けるプリントを抱いてダイブしちゃうくらい、職務を真っ当しちゃいそうだねぇ」
「なんだよ、それ。真面目っていうより異常だろ っていうか僕が委員長気質?」

そんなの、考えた事もない。
知り合いに根っからの委員長がいるせいか、
僕の委員長に対する理想像はとんでもなく高尚になってしまっている。
そのせいで、普通の程度の委員長を、委員長と認識出来ないのかも知れないけど。

「気にしすぎだよ阿良々木くん。元々霊なんてものは、存在しない、
見えないから幽霊なんて呼ばれ方をするんだ。皆にとって等しく存在出来る幽霊なんて、
最早幽霊でも何でもない」
「じゃあ、何なんだよ」
「ただの嘘さ」

背筋をつたう汗がやけに冷たく感じて、僕は一瞬言葉に詰まる。
忍野は言った。八九寺の存在を、嘘だと。

僕の前には、以前から変わらず存在している八九寺。
そしてごく最近、どういった経緯でかは知らないが、僕以外の人の前でも
その存在を維持出来るようになった八九寺。

どちらも僕がよく知っている、話の合う近所のガキで。
時には、年の差関係なく本気で殴り合ったりする、兄妹みたいな関係で。
どっちが本当で、どっちが嘘の八九寺真宵なんだ?

公園で一人立ち尽くす八九寺の絵がフラッシュバックする。
八九寺は物欲しそうな目で、公園で遊ぶ子供達とは一定の距離を置き、ただぽつんと立っていた。

八九寺の問題は既に解決しており、霊として気ままに過ごしていると聞いた。
本人がそう言っていた。
学校にもいかず、仕事もせず、毎日ぷらぷら生きるのは楽しいです。
そう笑った八九寺が、僕には全然楽しそうに見えなかった。
だから僕は、最近寄り道が多くなった。
町中でとぼとぼ歩いているあいつを見つけたら、ついでにからかってやろうと思っていた。

「で? その幽霊ちゃんと、ロリコンの阿良々木くん、僕はどっちについての事情を聞けばいいんだい?」

忍野の問いで現実に戻される。
なぜだか これ以上聞くのはまずいと思った。
だから、忍野に八九寺の事を聞くのはやめた。

「いや、そっちの方は全然大した問題じゃないんだ。本命は僕の方」

と、向こうから雲行きの怪しい口論が聞こえてきた。

「こよみお兄ちゃん、すっごく優しくて……私が困ってると、いつも助けてくれて…」
「優しければ良いって訳でもないと思うけど。誰でも平等に助けるって、つまり八方美人の事じゃない」
「でもっ! それって、凄くすっごく、いい人だと思いますっ! 尊敬できますっ」
「可愛い女の子ばかりを節操なく助ける男が、尊敬出来るというの?」

目を離したら、あっちは何だかややこしい状況になっていた。
というか、自分の評価について目の前で実況なんてされると、凄く落ち着かない気分になる。

「なんで、何で戦場ヶ原……さんはっ、こよみお兄ちゃんの悪口ばかり言うんですかっ!?」

千石がキレた所なんてはじめて見た。
しつこく頼んだら、パンツ見せてくれそうなくらい気の弱い千石が、
あの戦場ヶ原に……自分から進んでパンツどころか全裸を見せてくる戦場ヶ原に抗議したのだ。
ちょっとした事件じゃないのか、これ。

戦場ヶ原は突然僕の隣に座り、腕をからめて来た。
二人の少女へ見せつけるように。
千石が露骨に狼狽する様を見て、戦場ヶ原が怪しく微笑む。

「阿良々木くんは私の恋人だもの。良い所も、悪い所も知ってるし、受け入れるつもりだわ」
「わ、私だってこよみお兄ちゃんの悪いところ、沢山知ってますっ!」

張り合うんかい。
しかも僕の目の前で。

「こよみお兄ちゃんは……っ、すっごくえっちです! さっきだって私に、スクール水着を着ろって、怖い顔で…」

戦場ヶ原がカチカチ手元を鳴らす。

「阿良々木くんの不誠実回数……24回」
「ちょっ!? さっき12回だったじゃないか! 何で二倍に増えてるんだよ!!」
「私には、そんなこと一度だって言ってくれなかった…」
「言って欲しかったのかよっ!?」
「そんな不埒な要求されたら、勿論切り刻むわよ。でも要求されなかったら、それはそれで嫌だから、当然のように切り刻むわ」
「原型をとどめられる選択肢がないっ!」

強烈な個人主義の固まりである戦場ヶ原が、僕の事を気にかけてくれるのは、正直嬉しい。
今の僕は病気のせいで一時的に少女愛好にハマってはいるが、
この反社会的な趣向を継続するつもりなんて毛頭無い。
さっさと治して戦場ヶ原との仲を修復したいと、きっと以前のまともな僕なら考えるに違いない。

「阿良々木くんが、女子中学生のスクール水着で興奮するのはわかったわ」
「納得しなくていいから!」
「これから交際を続けるにあたって、スクール水着が必要不可欠というなら、私も考えを改める。それが元で別れるくらいなら…ええ、着るわ。今はもう小さくなった中学時代のスクール水着を」
「まじすかっ! …って、そんな理由で別れるって、僕糞野郎じゃないか!?」

「でも……私はスクール水着を着ることは出来るけど、現役中学生に戻る事は出来ないの」
「だからっ! 僕が千石に欲情するのは、一時的なものだって言ってるだろ!本当の僕にそんな趣味はないっ」

その台詞は、戦場ヶ原の誤解を解き、千石の不信感をぬぐい去る為のものだったはずだ。
なのに千石の瞳からは、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちてくる。

「そう、だよね。こよみお兄ちゃんが、私みたいな子供を相手にするわけ……ないよね……魅力、無いよね……っ、ぐすっ」
「嘘に決まってるだろ! 僕は千石の控えめな胸に欲情する!千石……お前が幼いから、子供だからこそ、だ!!」

戦場ヶ原が、カウントの機械をゴミ箱へ投げ捨てた。

「よく考えたら、数える必要なんて無いわね……どうせ最後は死んじゃうんだから」

この世に生まれ落ちて、もう何度目かになる、生命の危機。
なぜ、ロリコンは生きているだけで迫害されねばならないのだ。
なぜ、ロリコンは少女の匂いをすーはーして呼吸するだけで捕まらねばならないのか。
僕だけが悪いのか? 少女と裸で抱き合いたいと思っているのは、本当に僕だけなのか?
誰か……。

「阿良々木先輩!」

ドアが勢いよく開かれる。
呼びもしないのに、人の家へ勝手に上がり込んできたそいつ、神原駿河は。
僕の手を、ぎゅっと熱く握りしめる。男同士が友情を確かめ合う時みたいな格好で。

「…わかります。阿良々木先輩の言葉、私は理解出来ます。間違ってません!」

神原は千石にずびしっと指を突きつけ、

「こんなに小さい胸見せられたら、欲情するのは当たり前だ!!!」

この部屋の変態比率が増えた。
ロリコン1。ヤンデレ1。女子中学生1。不登校小学生1。ガチレズ1。

「お前何で来たんだよ。別に呼んでないぞ」
「阿良々木先輩が、たった一人で沢山の美少女を独占してる感じがしたから、
お裾分けして貰いに来たというわけだ」
「感じって何だよ!? お前電波受信するタイプの奴だったのかよっ」

神原の横に、戦場ヶ原が並ぶ。

「私が呼んだのよ」

嬉しそうに、神原がにこりと笑う。
こいつは戦場ヶ原の事が好きで、ずっと好きだった。
きっと今も好きなんだろう。
だから携帯で会話し、呼んで貰えた事が純粋に嬉しかったんだろう。

「お前ら、いつの間にそんなに仲良くなったんだよ」
「あら、私達は元々友好的よ? 知り合ったのは阿良々木くんより先だもの」
「いやぁ、戦場ヶ原先輩の番号を聞くには骨が折れた。
何でもいいなりになる、忠実な猿として仕えるという条件で、やっと教えて貰えたんだ」

「どこが友好的だよ!? 一方的な搾取だろ! お前それでいいのかよ神原!」
「本望だ!」

…すげぇよ神原。
僕もお前ほど欲望に忠実だったら、さぞ人生楽しかったろうよ。

「ところで阿良々木先輩」

神原が、千石の体を舐めるように隅々まで見つめる。
その姿は少女に狙いを定めるおっさんのごとく。
身の危険を感じた千石は、隠すようにきゅっと身をすくめる。
油断するなよ千石。こいつは、ノンケだって食っちまうような女だ。

女同士でいちゃつきあう、何て仲良し同士なら良くある光景だと聞く。
だが、神原は真性のレズだ。
女性同士であんな事もこんな事もしたいと、特殊性癖を僕の前で堂々と語っていた事もある。
少女の匂いにつられてやってきたというのも、あながち嘘とは思えない。

以前、千石の件で顔を合わせた時も『全裸を見た訳じゃないのに、おそらく人生の中で1,2を争うくらい、少女のブルマ姿に興奮した。女性は奥深いな』と僕に同意を求めてきたりもした。同意はしたけど。

だから、今神原の頭の中では、きっと千石があられもない姿でいたずらされているに違いない。
僕と同じだ。

神原は千石が恐怖で泣き出す寸前まで視姦した後、今度は部屋の隅っこに陣取る、

幼女八九寺をロックオンする。
無敵の幽霊、八九寺真宵はかつてない驚異を感じ取り、臨戦態勢を取る。
さすが小動物。危機感知能力が高い。

「彼女は阿良々木先輩の新しい愛人ですか。最近お作りになられたんですか?」
「いや、神原より先に会ってる。八九寺真宵だ」

八九寺が僕の尻に抗議の蹴りを入れてくる。

「まず否定して下さいよっ!? 何で普通に返してるんですかっ」
「愛人一号の、八九寺真宵ちゃん。私は神原駿河、二号だ。よろしく」

神原の差し出す握手を、八九寺は大降りのフックではね飛ばす。
その様子を見ながら、僕のある思いつきが確信に変わる。
今回の件でわかったけど、どうやら八九寺は人見知りが激しいらしい。
気を許さない相手が近づくと、反射的に攻撃するのが癖になってしまっている。
こんな風に拒絶された方は、強引に友達になろうとは思わないだろう。
だが、そこはガチレズ神原。
手を叩かれた直後にも関わらず、全くためらわずに八九寺へと近寄っていく。

「一号の座は譲れない、か。年上相手にその心意気、気に入った」
「何勝手な解釈で納得してるんですかっ!?」
「今晩は私の布団で寝よう」
「大変です阿良々木さんっ! この女、人の話聞きませんっ!!」

今晩まで待てない、と神原は暴れる八九寺を抱きかかえ、僕のベッドに倒れ込む。
神原は女性とはいえ、スポーツ少女だ。
上級生の戦場ヶ原でさえ、純粋な力勝負ならねじ伏せる事だって不可能ではないだろう。
小学生で子供体型な八九寺に、逃げる術はない。
そして僕らが見ている前で、幼女八九寺真宵は大人の階段を上っていった。

そういや、忍野と電話中だったの忘れていた。
まだ通話中のランプがついたままの携帯を取る。

「わるい忍野、ちょっと立て込んでた」
「何だかそっちは楽しそうだねぇ。もう阿良々木くん、ロリコンになってからさらに
女運ツキまくりだし、いっそこのままでもいいんじゃない?」
「良いわけないだろっ」

戦場ヶ原に聞こえないよう携帯を隠して、

「…早く元に戻らないと、殺されるよ」
「ツンデレちゃん、自分にも他人にも厳しそうだしねぇ。愛人の一人や二人なんて風習、
昔から割とあったし、今でも金持ちはやってるのに」
「それはいいから、早く解決策を教えてくれ」
「解決ってのは、なんだい?」

忍野の妙な物言いに、一瞬言葉がつまる。
言葉遊びが好きな忍野の遠回しな物言いに、辟易することはよくあった。
そして忍野がこういう言い方をするときは決まって、
既に僕は、厄介事の深みにはまってしまっているのだ。

「解決は解決だろ。ロリコンの……怪異? だか何だかに憑かれてるって
お前が言ったんじゃないか。それを祓って、僕が元の正常さを取り戻すのが、解決だよ」
「それは本当に解決と言えるのかな? だって阿良々木くん、
君の言ってる事はおかしいんだよ」
「僕が……おかしいだと?」

意味がわからない。
何もおかしくないじゃないか。筋道はちゃんと通っている。

僕の趣向が突然変貌したのは、怪異のせい。
少女趣味になった僕は湧き出る欲望のまま、手近にいる幼い少女達を集めはじめた。
でも、浮気をすると戦場ヶ原が怒るから、僕は…。
ずきりと、脳の一部に痛みが生じる。
まるで、そこから先の思考を拒絶しているかのように。

「阿良々木くんさ、電話越しに聞いてるだけでも、普通に幸せそうじゃない。
まるで、望んでいた世界が叶ったみたいな。怪異が害だっていうよりは、
ツンデレちゃんが怖いからって理由で動いてるし」
「べ、別にそれだけの理由じゃないっ。僕はちゃんと戦場ヶ原が」

はっと息を飲む。
名前を呼ばれたからなのか、それとも側で会話を拾っていたからなのか。
目の前に突然、戦場ヶ原の顔が出現して、僕は驚愕のあまり後ろへ後ずさってしまう。
僕が後退した分だけ、戦場ヶ原は間合いを詰めてくる。顔近いっ。

「私が、何なの?」
「ツンデレちゃんが怖い以外の理由って、なにさ」

逃げ場はない。
二人に詰め寄られ観念した僕は、言った。

「こんな異常性癖のまま付き合ったら、戦場ヶ原に……申し訳ない」
「申し訳ない? それってつまり、阿良々木くんは私の事、どう思っているの?」
「す…………好きだから」

神原がぴゅーぴゅー笛を吹く。うるさいよ。
パンッ! と戦場ヶ原がクラッカーを鳴らす。
お前そんなもの常に持ち歩いているのかよっ!

くそぉ、皆の前でこっぱずかしい告白をさせられてしまったっ。
この茶番に呆れてしまったのか、千石なんて完全に背を向けてしまっている。
唯一の救いは、八九寺がこのバカ騒ぎを、少しだけ楽しそうに眺めていたことくらいか。

「いやぁ、熱い熱い。阿良々木くんお幸せに。じゃ」
「こら待て忍野っ! 切るな!! まだ話は終わってないだろっ」
「まあどうしても祓いたいというなら、もう少し泳がせて見たらどうだい」
「泳がせる…? どういう意味だよそれ。放っておけってことか?」

冗談じゃない。今のまま、異常性癖を治さずに生きてみろ。
僕は少女に手を出したあげく、法律によって拘束されるか、
戦場ヶ原に殺されるかだ。
明るい未来なんてない。ロリコンに幸せなんて訪れるわけがない。
だが、忍野はあくまで現状維持を推してくる。

「今の段階じゃ、まだ阿良々木くん自身と怪異、双方の損得が一致してしまっている。
だから不満は浮き上がってこないし、原因を捜してもきっと見つからない」
「無理矢理引きはがせたりはしないのかよ?」
「無意味だよそれは。だって、少女と戯れたいって願望は阿良々木くんのものでも

あるんだから」
「おいっ、失礼な事を言うな。今までの僕のどこに、ロリコンの気があった」

大ありじゃない、とよりによって戦場ヶ原が割り込んでくる。
こいつ、僕のロリコン説を肯定する気か!?

「見ず知らずの小学生を助けてお近づきになろうと、必死にかけずり回ってたわ」
「よこしまな解釈はやめろっ! 困っている人を見つけたら、助けないと気持ち悪いじゃないかっ。
なぁ八九寺、僕とお前の間にそういうのは無いよな?」
「パンツ見られました」
「ちょ――っ!? あ、あれは不可抗力だ!」

戦場ヶ原についで、八九寺まで僕をロリコン扱いだ。
こいつら、事情を100%知った上で何を言い出すつもりだよ。
これはれっきとした虐めなんじゃないのか?

「そ、そうだ……千石! お前なら」
「…こよみお兄ちゃんに、裸見られました」

千石は僕の視線を避けるように、ぷいっとそっぽを向いてしまう。
…僕が何をした? さっきまで完全に僕の味方だったはずなのに。

「まさかの裏切り!? っていうかあれは、お前が見せたんだろうが! なぁ神原、
お前もあの時一緒にいたよな?」
「ああ、あの光景は今でも夢に見る。あれがきっかけで、私も阿良々木先輩を見習って、
幼い少女を助けると役得がある事を知った」
「擁護になってねぇ~~! むしろ共犯と思われてる!?」
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